こんにちは。オフィスくんです。様々なバーチャルオフィスの特徴や魅力を解説しています。
バーチャルオフィスを契約すると登記している住所の変更手続きが必要になると思うのですが、どのように進めればよいのでしょうか?
バーチャルオフィスへと会社住所を変更する場合、物理的なオフィスの引っ越しと同じで、移転登記の手続きが必要になります。
特に初めて手続きする人にとってはどのように進めたらよいのかわからなくて不安な方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、バーチャルオフィスを検討している方、また移転を決めて登記変更の手続きをこれから行う方に向けて、登記住所の変更(本店移転)手続きの仕方をわかりやすく解説します。記事を参考に、自分にとって最適な方法で進めてみてください。
いまではWEBサービスを利用することで簡単に手続きが行えるようになっていますよ
目次
登記住所の変更(本店移転)が難しく感じる理由
「会社 引っ越し」「登記変更」などで調べみると、その手続き方法について書かれた記事はたくさん見つかります。
ただし、記事の多くが「本店移転」「管轄内移転」「管轄外移転」など移転手続きをしたことない人には意味のわかりにくい言葉が並んで説明されています。
そのため以下では、専門用語についてはできる限り解説を加えて説明をしていきます。
本店移転の意味
会社の住所を変更する際には、「法務局」への変更手続きが必要となります。
なぜなら会社を登記する際に法務局に対して住所を登録しているからであり、その住所が変わるからという当たり前の理由です。
この法務局への住所変更手続きのことを「本店移転の登記申請」という言葉で解説されていることが多いです。またこの本店は、「会社」を指していると理解しておけば大きく意味がずれることはありません。
つまり会社の登記住所を変更すること=「本店移転」という言葉で言い表されています。
法務局への本店移転の手続き
法務局への手続き
①移転先住所の確定
②移転先住所に必要な書類の作成
登記利用が可能なバーチャルオフィスを契約して住所を確定した後、「定款(ていかん)」と「登記簿謄本(とうきぼとうほん)」の変更手続きが必要となります。
なぜなら「定款」と「登記簿謄本」に住所が記載されているからです。
「定款(ていかん)」は、会社の憲法とも呼ばれる書類で、会社設立時に作成しているものです。「登記簿謄本」は、その定款などの規定や会社の基本情報のうち法律で定められた一部が記載されている書類です。
どちらにも会社の所在地(本店)も記載してあることから、住所を変更する際は速やかに変更手続きを行う必要があるというわけです。また住所の変更が発生してから2週間以内という期限が設けられています。
もし本店移転の手続きをしないまま放置していると、「登記懈怠」として会社の代表者が100万円以下の過料(罰金)を払わされることがあるので注意が必要です。ただし、今後はわかりませんが2週間の期限を過ぎたらすぐに罰金が発生するといったケースは稀で、期限を過ぎた後でも受理されるとは言われています。
長期間放置していると罰金の可能性は高まりますので、バーチャルオフィスが決まったらすぐに手続きを進めましょう!
登記移転先の住所によって提出する書類の種類が異なる(管轄内と管轄外)
手続きは、「現登記住所を管轄する法務局」と「新しい住所を管轄する法務局」の2箇所に対して所定の書類を提出することで行うことができます。
これはバーチャルオフィスを選ぶ上でも大事なポイントです。
なぜなら移転先の住所を管轄する法務局が同じであれば片方のみに書類を提出するのみで済みます。これを「管轄内移転」と呼びます。現住所と新住所の管轄する法務局が異なり、2箇所に提出する場合を「管轄外移転」と呼ばれています。
管轄する法務局とは?
では、そもそも「管轄する法務局」とはどういうことか念のため確認しておきましょう。
一言でいうと、各都道府県および市区町村ごとに管轄する「法務局」と「法務局の出張所」が存在しています。
具体的には、登記住所が渋谷区なら渋谷出張所、新宿の住所なら新宿出張所というように登記住所を管轄している法務局があるのです。
つまり渋谷区から渋谷区の住所に本店移転登記するなら管轄する渋谷出張所で変わらないので管轄内移転となります。一方で、渋谷区から新宿区に移転する場合は、管轄する出張所が異なるので「管轄外移転」となるわけです。
ここで注意が必要なのは、必ずしも市区町村名と出張所の名前が同じではないケースがあること。例えば、渋谷出張所は、目黒区の住所も管轄しています。
詳しくは、法務局の「管轄のご案内」ページから対象エリアの庁名を見つけ、商業・法人登記管轄区域の欄を参照ください。
管轄のご案内:法務局
houmukyoku.moj.go.jp
本店移転に必要な書類まとめ
以上を踏まえて管轄する住所が同じ「管轄内移転(定款変更あり、なし)」と管轄住所が異なる「管轄外移転」で必要となる書類を羅列します。
※「定款変更のあり、なし」の詳細については後述します。
これからバーチャルオフィスを契約する方は、管轄内移転となる住所先で探すことが一番手間も費用もかからない手続きとなることを理解しておくと良いでしょう。
以下に示す通り、管轄外移転になるだけで単純に費用が3万円増えます。これはバーチャルオフィスの一年分にも相当する金額です。
管轄内移転で必要な書類(定款変更なし)
- 本店移転登記申請書
- 収入印紙貼付台紙(登録免許税:3万円)
- 取締役会議事録(又は取締役の過半数の一致を証する書面)
管轄内移転で必要な書類(定款変更あり)
- 本店移転登記申請書
- 収入印紙貼付台紙(登録免許税:3万円)
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録(又は取締役の過半数の一致を証する書面)
管轄外移転で必要な書類(定款変更あり)
- 本店移転登記申請書 2通 ※旧所在地分1通、新所在地分1通
- 収入印紙貼付台紙(登録免許税:6万円) ※旧所在地分3万円、新所在地分3万円
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録(又は取締役の過半数の一致を証する書面)
- 印鑑届書(管轄外本店移転の場合)
※代表者が手続きを委任した場合は、委任状が提出先の法務局分必要となります。
羅列すると大変そうに感じますが、書類のフォーマットは決まっていて、記載する箇所も住所を記入するくらいのものです。また資料は法務局のサイトからダウンロードできるので代表者自らで進めることも十分可能です。
管轄内移転は、定款の変更が必要な場合と不要な場合がある
ここでは管轄内への移転だけど、定款の変更が必要ないケースと必要になるケースについて紹介します。
管轄内移転で「定款の変更が不要」な場合
定款の本店所在地はどのように記載しましたか?
というのも定款の本店所在地は、市町村及び東京23区までを定めればよく、「丁目・番・号(ビルやマンション名含む)」まで定める必要はありません。
例えば、定款に「当会社は、本店を東京都渋谷区に置く」と定めている場合は渋谷区内への移転であれば定款を変更する必要はありません。ただし、定款に「丁目・番・号(ビルやマンション名含む)」まで定めている場合は、同じ渋谷区内の移転で記載内容を変更必要があることから定款の変更が必要となります。
管轄内移転で「定款の変更が必要」な場合
ややこしいのが、同じ法務局(の出張所)の管轄内への移転だけど、定款の変更が必要になるケースです。
どのようなときに当てはまるかというと、前述した通り、例えば、渋谷区出張所は、「渋谷区」と「目黒区」と複数のエリアを管轄している場合です。
具体的には、現在の会社住所が「東京都渋谷区」で、移転先の住所が「東京都目黒区」の場合は、管轄内移転ではあるけど、定款の住所がそのままというわけにはいかないので、変更が必要となってしまうのです。
つまり書類を提出する法務局は、一箇所で済みますが、定款を変更するために、本店移転登記申請時に定款変更を決議した「株主総会議事録」も必要となります。
本店移転に必要な書類の作成方法
契約するバーチャルオフィスの住所は、管轄内(定款の必要なし、あり)、管轄外のどちらかわかったら実際に書類を作成していきます。
書類の作成方法は、「自分で作成する」、「オンラインサービスを利用する」「司法書士にお願いする」の3パターンがあります。
1.本店移転登記書類を「自分で作成する」
自分で進めるメリットは、費用がかからないことです。実際、書類の作成はそこまで大変でありません。
ただし、初めての方にとっては手間であることには変わりなく、わからない点が出るたびにストレスを感じるかもしれません。
詳細の記載内容については、以下の記事にまとめているので、参考にまずは自分で進めれそうか判断してみてください。
本店移転登記申請の必要書類を解説|GVA 法人登記
corporate.ai-con.lawyer
ちなみに今では電子申請もできますが、その使い勝手はお世辞にも良いとは言えませんでした。。。それもあって電子申請は行ったことがないので、電子申請を行い方は他サイトの記事を参考にしてもらいたいです。
2.本店移転登記書類を「オンラインサービスで自動作成」 ※おすすめ
次に「本店移転登記書類をオンラインで自動作成」できるサービスを使った進め方です。
利用方法は、非常にシンプルでオンライン上のガイドに従って情報を入力していくだけで書類が作成できます。
フォームに必要事項を入力することをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。
入力を終えると自動で書類が完成します。あとはそちらを印刷し、法務局に郵送して手続きは完了となります。
自分で書類を集めて、作成してというのが面倒な方にはとても便利なサービスです。費用も1万円前後で利用可能です。
以下では、代表的な3サービスを紹介します。
『GVA 法人登記』
『ラクリア登記』
ラクリア法人登記変更 - ラクリア法人登記
reg.rakulia.com
『LegalScript(リーガルスクリプト)』
本店移転(本社移転)登記 | LegalScript
legal-script.com
3.司法書士に頼む
3つ目は、司法書士にお願いするパターンです。
すでにお願いしている方がいるのであれば検討してもよいかと思いますが、一番費用がかかります。
一般的に、依頼費用のみで¥40,000~が相場と言われていますので、登録免許税と合わせると10万円を超えることもあります。
実際に自分で進めてみた所感としては、本店移転に関しては自分、または上記のWEBサービスで進めることをおすすめします。
理由は、単純にお願いするほどの内容でないことと費用面の違いが大きいからです。特にWEBサービスは、これまでの士業の仕事の多くがこうしたサービスに置き換わっていくことを体験することもできるのでおすすめです。
もちろん信頼できる方に任せて完了できるメリットはあるので費用を気にしない方は司法書士さんにお願いすると良いでしょう。
その他、本店移転を進める際の注意点
代表取締役の住所変更
会社住所と同時に代表取締役の住所も変更となる場合は、一緒に手続きする必要があります。
それは代表取締役の住所も登記簿謄本の記載事項となっていますので、引越しをした際には変更登記申請が必要になるからです。また会社住所の変更と同様、変更をせずに放置していれば、「登記懈怠」として罰則を科せられる可能性があるので注意が必要です。
代表取締役の住所変更と本店移転登記は同時に、しかも同じ書類に代表取締役の住所を追記する追記するだけ申請できます。手間はかかりませんので、忘れずに同時に申請しましょう。
ちなみに変更にかかる費用は、資本金によって異なります。
代表取締役の住所変更
資本金が1億円以下の場合:10,000円
資本金が1億円を超える場合:30,000円
また前述の「GVA 法人登記」、「ラクリア登記」、「LegalScript(リーガルスクリプト)」のWEBサービスを使用して申請を進めることもできます。
法務局への移転登記申請完了後の手続き内容について
以上で法務局(および出張所)への本店移転登記申請は完了です。 書類の提出後、1~2週間で申請が受理され、移転登記は完了します。
ただし、住所変更による影響範囲は大きく、業務を進める上で届け出が必要なところが他にもあります。
契約状況によって必要な場所は異なりますが、おおよそ法人の場合に必要になる手続きは以下になります。
- 手続き先と内容
- 税務署(移動前と後の管轄税務署に異動届出が必要)
- 年金事務所(健康保険・厚生年金保険事業所在地の変更の届出が必要)
- 労働基準監督署、ハローワーク(所在地の変更の届出が必要)
- 郵便局の転居・転送サービスの届出
- 銀行口座やクレジットカードの住所変更
- 名刺・会社案内・メール署名、各種資料やホームページに記載の住所
税務署や年金事務所などは税理士さんを契約していれば届け出を手伝ってもらえるかと思います。ただ販促物周りや銀行・カードなどは自分や自社で変更しなくてはいけないでしょう。
後回しにするほど大変になるので、住所変更が必要なところを棚卸し、一気に進めてしまうことをおすすめします。
バーチャルオフィスへの登記住所の変更(本店移転)まとめ
今回は、バーチャルオフィスへの登記変更の進め方について詳しく見てきました。バーチャルオフィスの他、レンタルオフィスやコワーキングスペースでも進め方は一緒なので、これから移転を考えている方は同様に参考にしてみてください。
また最後に補足として書きましたが、自宅で登記していて、自宅の引っ越しに伴いバーチャルオフィスへと登記先を変更する場合は、代表取締役の住所変更も必要となりますので、忘れずに同時に申請するようにしましょう。このケースは周りの知り合いを見ていても結構いますし、自宅の引っ越しの度に登記先を変更するのが面倒でバーチャルオフィスにするという理由も多くあります。
今回の記事を読んで本店移転の手続きが面倒だと感じた方は、バーチャルオフィス先が変わることがないように、できる限り信頼できる会社を選んだほうがいいとも思ったのではないでしょうか
そんなときはこちらの記事を参考にしてみてください。
失敗しないバーチャルオフィスの選び方!抑えるべき6つのポイント
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最後までお読み頂きありがとうございました。